2026年2月に行われている衆議院選挙では、各地の街頭演説で激しいやじや抗議活動が相次いでいます。
「うそつき!」「やめろ!」といった大声が演説にかぶさり、候補者の声がかき消される事態も発生しています。
こうした街頭演説へのやじは法的に問題ないのでしょうか?
表現の自由と選挙妨害の境界線について、最新の事例と法的判断を詳しく解説します。
街頭演説のやじは違法?

結論から言うと、街頭演説でのやじは原則として違法ではありません。
2019年の参院選で起きた事例では、安倍総理(当時)に「辞めろ」「増税反対」とやじを飛ばした男女が警察に排除されました。
しかし、その後の裁判で札幌高裁は「やじをあげる行為は憲法が保障する表現の自由に含まれる」と判断しています。
ただし、すべてのやじが許されるわけではありません。
拡声器を使って演説を完全にかき消したり、物理的に演説を妨害したりする行為は選挙妨害罪に該当する可能性があります。
公職選挙法第225条では、選挙の自由を妨害する行為に対して4年以下の懲役もしくは禁錮、または100万円以下の罰金が科されると定められています。
つまり、政治的意見を表明する程度のやじは表現の自由として認められますが、演説そのものを成立させなくするような過度な妨害行為は違法となる可能性があるのです。
街頭演説でのやじを巡る札幌高裁の判断!表現の自由として認められた事例

2019年の参院選で起きた「やじ排除事件」は、この問題を考える上で非常に重要な判例となっています。
当時、札幌市内で行われた安倍総理の街頭演説中に、「辞めろ」「増税反対」とやじを飛ばした男女が北海道警察に排除されました。
排除された男女は「表現の自由が侵害された」として北海道を提訴しました。
2024年の札幌高裁判決では、大声をあげた行為を「政治的な意見表明」と認め、警察官の行為によって表現の自由が侵害されたと判断しました。
この判決は、やじが単なる妨害行為ではなく、憲法で保障された表現の自由の一形態であることを明確にした画期的なものでした。
裁判所は判決の中で「選挙演説に対する批判的な意見表明も、民主主義社会において重要な役割を果たす」と指摘しています。
ただし、この判決は「すべてのやじが無制限に許される」という意味ではありません。
あくまで政治的意見の表明としての範囲内であることが重要なポイントとなっています。
街頭演説への抗議活動が相次ぐ2026年衆院選!各地で起きている実態とは
2026年2月の衆議院選挙では、各地の街頭演説で激しい抗議活動が相次いでいます。
大阪・堺市で行われた維新の会の演説会場では、20人以上の反対派がプラカードを持って集まり、「うそつき!うそつき!」と演説にかぶせてやじを飛ばしました。
演説が聴こえないほどの抗議活動となり、会場は騒然とした雰囲気に包まれました。
東京・秋葉原で行われた自民党の街頭演説では、高市総裁の演説中に拡声器を使って「高市やめろー!」と繰り返し叫ぶ抗議活動が発生しました。
自民党スタッフが「通報」と書かれた紙を掲げましたが、約10分間抗議活動が継続し、聴衆とのトラブルに発展しかねない場面もありました。
れいわ新選組の大石晃子共同代表は、大阪・十三駅での演説中に大声のやじに対し「何を叫んでんねやお前は。権力と戦え!」と言い返す場面がSNSで注目を集めました。
大石氏は後に「こわかった」とXで振り返っています。
抗議活動を行っている人の中には「自分たちにも表現の自由がある。優劣をつけられるものではないと考えて抗議しています」と語る人もいます。
多くは個人で活動しているとのことですが、演説が聴こえず聴衆が候補者の主張を知る機会が奪われるという懸念も指摘されています。
まとめ
街頭演説でのやじは、札幌高裁の判決により「表現の自由」として認められています。
政治的意見を表明する程度のやじは違法ではありませんが、拡声器を使って演説を完全にかき消すなど過度な妨害行為は選挙妨害罪に該当する可能性があります。
2026年の衆議院選挙では各地で激しい抗議活動が相次いでおり、表現の自由と選挙の公正性のバランスが改めて問われています。
民主主義社会において、批判的な意見表明も重要な役割を果たしますが、同時に有権者が候補者の主張を知る機会を確保することも大切です。
今後、この問題についてさらなる議論が必要となるでしょう。

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